7月23日 学習交流会「地域活動支援センター『のーま』について学ぼう!」

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出席者7名(うち会員6名)

 親の高齢化に伴い、会員から当事者の居場所や相談先等についての悩みが寄せられることが増えています。そこで、7月の学習交流会は、聖蹟桜ヶ丘駅近くの健康センター4階で、『のーま』を含めた3つの障がい者支援事業を展開している「マルシェたま」から、社会福祉士・公認心理士として相談・支援等に奔走されている小川肇さんをお招きし、お話を伺いました。小川さんは、多摩市から『のーま』を受託されて2期目を迎えた社会福祉法人「正夢の会」の現役スタッフです。

マルシェたまの3つの事業について

①多摩市地域活動支援センター 『のーま』

  • 多摩市在住の障がいのある方が対象で、手帳の有無は問わない。
    病院の診断を受けてもらって、医療の判断後の利用、支援になる。
    利用者は、精神疾患の方が6~7割、知的障害の方が2割、1割程度が身体障害という状況。
  • 利用は登録制。相談は無料(プログラムや交通費では実費負担あり)
  • 福祉に係る様々な相談に対応(内容によって他機関と連携して支援する)
    • 福祉サービスや医療サービス利用の支援
    • 家族や友人との人間関係
    • 生活に関わる支援
  • プログラムの実施(運動、創作、調理、音楽、トーク等、年1回外出プログラムあり)
    • 人気はフィットネス、かんたんダンス、ナイトプログラムもあり。
    • 毎月末に登録者に、月間予定表を送付・配布している。面談をしたうえで登録前の見学が可能。一部事業を除き、プログラムの参加予約が必要ないので利用しやすい。
  • フリースペースの利用(パソコン、図書、談話室利用)

②マルシェたま障害者相談事業所

  • 障害者総合支援法に基づく計画相談機能
  • 福祉サービスの案内・調整(サービス等利用計画の作成)を行う

③多摩市障がい者就労支援センター 『なちゅーる』

  • 多摩市の独自事業。登録対象は多摩市在住の障がいのある方。ただし、障害者就労は、手帳のある方が対象となる。ハローワークのような仕事のあっせん(紹介)はできない。就職を希望される方への準備支援、就職した方への定着支援及び生活支援、会社の方への雇用主支援を行う。
    • 相談は無料。
    • 現在、精神障害、知的支援の方の登録が半々ずつで、最近は高次脳障害のような身体障害の方も登録している。発達障害からうつ病を発症するケースも多く、障害をどう受容するかが重要なポイントとなっている。
  • 就職までのステップを一歩一歩確認しながら、一般就労に向けて支援をする。
  • 就労を継続していくための生活支援や講座、交流会も実施している。

懇談を通して

 マルシェたまの事業についての説明後は、小川さんを囲んで懇談です。コロナ後のここ1~2年で20代前半の方の相談が一気に増加しているそうです。これまで築き上げてきた人間関係がコロナでくずれて精神疾患になったというケースが多いようです。また、親の高齢化に伴い、いわゆる「80・50問題」の相談も多くなってきていて、ニュータウンという地域性もあるのか、近隣の八王子市も同じような傾向だそうです。

 市役所の障害福祉課に行くと、地域活動支援センターとして『あんど』と『のーま』が紹介されます。『あんど』は身体障害、身体の高次脳障害、高齢者の登録が多い傾向に対し、『の-ま』は精神障害の登録者が6~7割を占めているそうです。本人の希望にそって見学・体験もでき、それからサービス利用をする場合は、認定調査で受給者証をとる支援もしているそうです。

 最初の一歩は、本人とご家族が一緒に行って、『のーま』に登録してもらう。基本は本人の意思です。本人だけ、ご家族だけでの登録手続きも可能だそうです。病院のデイケアに比べ、より緩やかな利用ができるので、作業所に行く前のプロセスにする方が多いそうです。

 参加者からは「50代の子どもが家から出てプログラムに参加してもらうのにどうしたらいいか?」という悩みや、精神障害を抱えての就労の継続についての質問が出されました。グループホームについては、小川さんは、生活自立を目指す通過型は若い方が対象で、滞在型の精神障害者のグループホームは限られる現実にも言及されました。家に引きこもっている方へは、自分たちも悩みながら、まず訪問看護を紹介して、場合によっては同行する、家に来るのが嫌なら公園等の外で会う等の対応もしているが、アウトリーチの難しさがあるというお話もありました。多種多様な相談に、調べて勉強しながら、また他の様々な専門機関等とも連携して対応しているそうで、厳しい現実もあることを踏まえながらも、何とかしたいと奮戦している様子が、温かく穏やかな口調から伝わってきました。

 『のーま』は、ふらっと50歳代の方でも行くことができるので、作業所に通っている40歳~50歳代の利用者も多いそうです。登録者には担当の職員が付くことも、利用者には安心材料なのかなと感じました。

14名の職員の皆さんが、マルシェたまの事業全体で、千名に迫る登録者の対応をされていらっしゃるとのこと。当事者の意思に寄り添った柔軟な運営を目指しているマルシェたまの情報が当事者に届くことを願いながら、懇談は終了しました。

(F.M)


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